男がこれまで実践してきたビジネスは全てIT関連であるが、『ITをやればお金になるか?』というとそうでもない。
ただし、ITを経営に活用できれば、成長の加速度はすさまじいものになる。
男がこれまでただガムシャラにビジネスをやってきたわけではなく、「ある一定の法則」のもとにビジネスを展開してきた。
この法則は、ありとあらゆる業界に適用できるし、企業規模や売上高で勝負をするのではなく、時間と場所の自由を手に入れることを最優先に考えるのであれば、参考になるのではないかと思う。
それでは、この6つのルールについて解説していきたい。
黄金ルールその1)動機
ビジネスとして成り立つということは、人やお金が動くということだ。
そして人が動く時には、その裏側に必ず動機がある。動機が薄いものはサービスとして成り立ちにくい。
誰でも「こんなサービスがあったらいいな」というぼんやりとしたアイディアは思い浮かぶものだが、それをビジネス化してうまくいくかどうかはまた別の問題だ。あなたが何らかのビジネスを思いついた際にはまず以下のことを考えてみよう。
まず「誰がそのサービスを使う必要があるのか ? 」を考えてみる。
・ 必ずビジネスで使う利用者がいること
・必ずビジネスで使う仕組みであること
必要性が低ければそのサービスを使わなくても事足りてしまうからだ。必要性が高いほどそのサービスを利用する動機も強くなるので、需要を見込むことができる。
次に、「誰がどのようにお金を払うのか ? 」を考えてみる。
・買い切りか、月額制かを検討する
サービスが軌道に乗って利用者が増えれば月額制のほうが安定収入が見込めるが、月額制にするかどうかは、利用者が継続して使う必要性があるかどうかにもよる。必要性があれば、毎月の使用料を負担してでも継続して利用してくれるだろう。
・需要と供給のバランスをはかって価格を検討する
「物の値段は需要と供給で決まる」という原理がある。買い切りにするに せよ、月額制にするにせよ、需要と供給のバランスをはかって価格を検討しよう。 これらの質問について答えが明確になっていれば、次のステップへ進んで良いという 合図だ。
黄金ルールその2)再利用性
再利用性が高ければ高いほど、非労働集約型のビジネスに近づいていく。「プログラム などの資産を再利用可能な形で活用できているか ? 」という点に常に着目する。例えば システム開発という分野においては、システムの受託開発は労働集約型で、プログラム のレンタル事業やパッケージ販売は非労働集約型といえる。
黄金ルールその3)継続性
ルール2に取り上げた継続性をさらに細分化すると、以下の 2 つに分かれる。
①業務的な継続性
②ビジネスモデル上の継続性
①業務的な継続性
これは、
・一度契約をしたら、顧客のビジネスが続く限り継続をしなければ ならない理由があるかどうか ?
・ 他社に乗り換えるための敷居が高いかどうか ?
という意味だ。
例えば男が23歳で手がけたショッピングカートのレンタルビジネスの場合、運営者が自社のショッピングサイトを継続する限りシステムを利用する必要があり、システム内に注文データや顧客データが蓄積していくので、他社への乗り換えの敷居も高かったので、売上はとても安定していた。
そういった意味では、最近流行り始めているインターネット上で提供される会計システム「Freee」なども、その会社が存続する限り利用され続ける可能性が高いので、究極の継続モデルと言うことができる。
②ビジネスモデル上の継続性
これはサービスの提供方法として、「買い切り型」ではなく「レンタル 型」にするというものだ。
利用者にとっては初期コストを抑えることができるので入り口のハードルが下がり、使っているうちに慣れてしまいそれがないと困るようになってくれれば継続性も高まる。
運営者にとっては、買い切り型だとどうしても「買い替え」時の継続購入率が読めないところがあり、毎月や毎年の売上に波が出て来るが、レンタル型にすれば入り口での売上は下がるものの、毎月の売上は見込みやすくなり、結果的に 売上は安定することになる。
従ってなるべく売り切り型のサービスよりも月額課金型のサービスにしたほうが良い。
例えば『Microsoft Office』や『Adobe CC(Creative Cloud)』などはもともとパッケージ販売型だったが、今は月額課金型になっ ている。これは上記のような理由によるところが大きいと思う。
男は2000年前半から、 ソフトウェアはパッケージ販売よりもレンタル型が良いと考えていた。
インターネットが生まれる前は「ソフトは借りるものではなくて買うもの」が当たり前であったが、イ ンターネットの普及とともに『Dropbox』『Evernote』のようなクラウドサービスが 浸透してきたことにより、「システムをレンタルしてその対価を払う」という概念がよう やく一般消費者の市場にも浸透してきたため、大手ソフトウェア販売社もレンタル型 のモデルに切り替えているのだろう。
最近は車や自転車をはじめとした「シェアリングエコノミー」が流行っているが、これもその流れを受けたものだと思う。
利用者も自社で保有するよりは借りたほうが運用面でもコスト面でもメリットがあるという具合に変わってきたのだ。
安定的で右肩上がりになるようなビジネスを構築したいと思えば、顧客の業務的な理由から継続性が高い 分野のサービスを、買い切り型ではなくレンタル型で提供すれば良い。
黄金ルールその4)拡張性
利用者が増えても労力が変わらなければ、非労働集約型の要素が強くなる。
ここで「ITの活用」が重要なポイントになってくる。まずは自社のサービスをコンテンツやプログラムといったデジタル資産に置き換える。
次に、これらの資産を月額課金型で提供する。
この方式であれば、利用者が増えても入退会処理やお問い合わせ対応といった事務手続きが増えるぐらいで、システム運用のコストはサーバを増強する程度で、人的コストはほとんど増えな い。
ちなみに男が運営する『@SOHO』は2019年現在、登録者27万人という規模ながら、お問い合わせ対応や掲載情報の承認といった日々の運営業務は外注パートナーの方 1 名だけで完結させることができ、追加機能の開発を行わない限り男は時間を割かなくてもサービスを維持していくことが可能だ。これはまさに不労所得と言ってもいいだろう。
黄金ルールその5)口コミ性
ビジネスを立ち上げて広く世の中に知ってもらうには、何らかの宣伝活動をしなければならない。
手っ取り早いのはお金を払って広告を出すことだが、広告は先行投資的な 要素が強いし、広告せずに広まってくれるのであればそれに越したことはない。
特に、ソーシャルメディアという言葉に象徴されるように、インターネットの利用者にはブログやメールマガジンで情報を発信する「情報発信者」が増えているし、自分が情報を発信 しなくても『Twitter』や『Facebook』などで情報をシェアしたり、『はてなブックマー ク』などのソーシャルブックマークに登録して情報を広めてくれる「情報拡散者」も増 えているので、口コミをされやすい環境が年を追うごとにどんどん増えているのだ。そ のようななかでやはり口コミされやすいのは一般消費者を対象にしたサービスだろう。
『@SOHO』も、多くの方が『Yahoo ! 知恵袋』などで口コミで広めてくれているのでと ても助かっている。私がB 2 Cのビジネスを好むのは口コミ効果を起こしやすいからだ。 爆発的にヒットしたサービスは、その背景に必ず口コミ効果がある。
黄金ルールその6)革新性
革新性というと、あなたはこれまで世の中になかったような全く新しいものを生み出 さないといけないと思っていないだろうか?
ところが実はそうでもなく、世の中にあ る革新的な商品やサービスをあらためて見てみると、実は既存のものを改良したものが ほとんどだということがわかる。
例えば男も大好きなアップルを例に考えてみよう。『iPod』や『iPhone』や『MacBook Air』や『Apple Watch』といった革新的な製品が市場に投入された時、最初の顧客の反 応は正直なところ「 ? 」という感じだった。クエスチョンマークというのは、「使ってみないとその価値がわからない」ということだ。
顧客がこれらのデバイスを手にして実際 に使ってみて、「ああ、そうだったのか」と体感し、一度体感するともうそれがない生活 は考えられないようになってしまう。
そんな革新的な商品を市場に投入し続けてきたア ップルでさえ、既存にないものを生み出しているのではなく、既存にあるものを改良し て世の中にリリースしているだけなのだ。
『iPod』はウォークマンを改良したもので、
『iPhone』は携帯電話を改良したもので、『MacBook Air』はパソコンを改良したもので、 『Apple Watch』は時計を改良したものだ。『iPhone』や『MacBook』シリーズのデザイ ンはもうすでに十分洗練されているように思えるが、それでもアップルは果敢にチャレ ンジして新しいカタチを顧客に見せてくれている。
もちろん、これまで世の中になかっ たものを生み出すことができればかなり革新的なのだが、それを狙っていると当たり外 れも出てくるだろう。
アップルのような大企業でさえ、「既存のものを改良する」ということに注力していることがわかると、気が楽になるのではないだろうか?
ゼロから何かを生み出すのではなく、既存のものを改良する形で革新性を出すコツは、 従来の機能をすべて満たし(不要な機能があれば削除し)、新たな機能を追加する、ただ これをひたすらやっていけば、確実に満たすことができる。
以上が時間と場所の自由を確保しながらビジネスを拡大していくための、言い換えれば「ひとり社長でも大企業と渡り合えるほどのビジネスをするための、「6つの黄金ルール」ということになる。
あなたが現在展開しているビジネスやこれから手掛けようとしているビジネスを、この6つのルールと照らし合わせてみてはいかがだろううか?
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時間と場所の自由を手に入れるための6つの黄金ルール